2007年10月18日木曜日

契約の書1

その書物、始めの方にあるページの一部より

先頭を切って歩いていた男が後ろを振り返り、彼に続く人々を見渡し、一呼吸置いてから厳かに語り始めた。
「我々は辿り着いた。この地こそ、人の語る口こそ違えど、数億万人の語りし約束された地である。
ある者は聖地と呼び、またある者は葡萄の地と呼ぶ。黄金郷か?それとも桃源郷か?
だがそれらはこの土地の一部を指しているに過ぎない。
この地は神が最初に作ったとも呼ぶし、神が住む場所とも呼ばれる。
だが、諸君らの中で、誰かの語るそれら神のうち、唯の一人でもそんなものを見た者はいるか?
目を覚ますのだ。前を見ろ。後ろを見ろ。右を見ろ。左を見ろ。
我々はここにいる。我々の知覚しうる全ての感覚をもって、ここに居ると言える。
つまるところはそういうことだ。
我々は選ばれたのだ。約束されたこの地に住むことを赦された、ほんの一握りの生き物なのだ。」

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