2008年12月6日土曜日

Guilty

どれだけ
どれだけ
叫んでも
失ったものは
かえらぬまま

「今の子と、もう死んでしまったあの子、どっちが賢い?」
猫の話である。

全く愚かな質問だ。
死者と生者を比べることはできない。
よしんばできたところでそこに何の意味もない。
死者は生きている者の価値基準を持たない。
金も物も、生者同士が欲しいと思うからこそ価値があるのであって
既に死んでいる者は五感を失っている以上、
それらいわゆる見た目に騙される事は決してない。

死者はその瞬間から、自分が成した事をもって価値とする。
どれだけ徳を得たか。それこそが死者の絶対価値なのだ。
生者は生者によって価値を認められる。
それは移ろい易い価値で、少しのことで変わり得る相対価値だ。
愛情、財産、名声
これらは己が他と接する中で生まれるものであり
死者に対して求めるものではない。

徳とは、生者が死者に対して求めるもののことだ。
自分はこうなりたい、こうしておきたい
それを行った結果相手の生者に残る、己の評価のことである。
死者が何を望み、何を為すのか。
それを生きている者が知ることはできない。
死から蘇って来た者がいないからである。

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